中和
中和とは、酸と塩基が反応して塩(えん)と水を生じる反応です。反応の本体は H⁺ + OH⁻ → H₂O で、酸・塩基の種類によらず共通です。
中和反応
- (1) 中和とは、酸と塩基が反応して塩と水を生じる反応をいう。イオン反応式で書けば H⁺ + OH⁻ → H₂O であり、これが中和の本体である。OpenStax「Acid-Base Titrations」
- (2) 強酸と強塩基の中和熱は、酸・塩基の種類によらずおよそ56kJ/molである。中和の本体が共通の反応だからである。OpenStax「Enthalpy」
例:HCl + NaOH → NaCl + H₂O
中和の量的関係
中和が過不足なく起こる条件は「酸が出す H⁺ の物質量=塩基が出す OH⁻ の物質量」です。
酸の価数 × 酸のモル濃度 × 酸の体積 = 塩基の価数 × 塩基のモル濃度 × 塩基の体積
- (3) 中和の量的関係は「酸の価数×濃度×体積=塩基の価数×濃度×体積」で表される。電離度は関係しない(弱酸でも最終的にはすべて中和される)。OpenStax「Acid-Base Titrations」
計算例
0.10mol/L の硫酸(2価)20mL を中和するのに必要な 0.20mol/L の水酸化ナトリウム(1価)の体積は、
2 × 0.10 × 20 = 1 × 0.20 × V より V = 20mL です。
塩の水溶液の性質
中和でできた塩は、必ずしも中性ではありません。
| 塩の由来 | 液性 | 例 |
|---|---|---|
| 強酸 + 強塩基 | 中性 | NaCl(HCl + NaOH) |
| 強酸 + 弱塩基 | 酸性 | NH₄Cl(HCl + NH₃) |
| 弱酸 + 強塩基 | 塩基性 | CH₃COONa(CH₃COOH + NaOH) |
- (4) 塩の水溶液の液性は、もとの酸と塩基の強いほうの性質に近づく。強酸+強塩基の塩は中性、強酸+弱塩基の塩は酸性、弱酸+強塩基の塩は塩基性を示す。これを塩の加水分解という。OpenStax「Acid-Base Titrations」
中和滴定
- (5) 濃度がわかっている酸(または塩基)を使って、濃度未知の塩基(または酸)の濃度を求める操作を中和滴定という。中和点の判定には、滴定する組合せに応じた指示薬を選ぶ。OpenStax「Acid-Base Titrations」
- (6) フェノールフタレインの変色域はおよそ pH 8.3〜10.0(無色→赤)、メチルオレンジはおよそ pH 3.1〜4.4(赤→黄)である。弱酸を強塩基で滴定する場合は中和点が塩基性側になるためフェノールフタレイン、弱塩基を強酸で滴定する場合は酸性側になるためメチルオレンジを用いる。OpenStax「Acid-Base Titrations」
危険物との関係
- (7) 酸や塩基の危険物が流出したときは、専用の中和剤で中和してから処理する。ただし中和反応は発熱反応であり、急激に中和すると発熱・飛散の危険があるため、少量ずつ行う。総務省消防庁「危険物とは」
- (8) 第6類の硝酸・過塩素酸は強酸かつ強い酸化性をもち、可燃物との接触で発火の危険がある。中和処理でも可燃性の中和剤を用いてはならない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第25条第1項第6号」
試験での頻出ポイント
- 中和の量的関係に電離度は関係しません。価数・濃度・体積だけで決まります。
- 中和点が必ず pH 7 になるとは限りません。塩の種類で液性が変わります。
- 強酸と強塩基の中和熱は約56kJ/molで、酸・塩基の種類によりません。
- 指示薬の選択は「中和点がどちら側に寄るか」で決めます。
- 中和は発熱反応です。
出典・参考
- OpenStax Acid-Base Titrations
- OpenStax Enthalpy
- 総務省消防庁 危険物とは