二酸化炭素消火剤
二酸化炭素(CO₂)は、空気より重い不燃性の気体で、燃焼面をおおって酸素濃度を下げる窒息消火を行います。汚損がなく電気絶縁性が高いため、電気設備や精密機器のある場所で使われます。
消火の原理
- (1) 二酸化炭素は酸素濃度を下げる窒息作用によって消火する。放出時の断熱膨張による冷却も補助的に働く。総務省消防庁「二酸化炭素消火設備の放出事故」
- (2) 二酸化炭素の蒸気比重は約1.5で空気より重いため、燃焼面や低所に滞留して酸素を排除する。総務省消防庁「二酸化炭素消火設備に係る安全対策」
長所
- (3) 気体なので汚損がなく、放射後に残留物が残らない。電気絶縁性が高く、電気設備の火災に適応する。精密機器・美術品・通信機器のある場所に向く。総務省消防庁「二酸化炭素消火設備の放出事故」
- (4) 油火災(第4類)にも適応する。液面をおおって蒸気の供給を止めるのではなく、酸素濃度を下げることで消火する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 別表第五」
短所と危険性
- (5) 高濃度の二酸化炭素は人体に危険である。防護区画内に人がいる状態で放出されると窒息事故につながるため、消防庁は起動用押しボタンの誤操作防止や退避のための警報など、安全対策の徹底を求めている。総務省消防庁「二酸化炭素消火設備に係る安全対策」
- (6) 気体なので拡散しやすく、密閉性の高い区画でないと有効な酸素濃度低下を維持できない。屋外や開放空間では効果が下がる。総務省消防庁「二酸化炭素消火設備の放出事故」
- (7) 冷却効果が小さいため、高温物が残っていると再燃するおそれがある。総務省消防庁「二酸化炭素消火設備の放出事故」
使ってはいけない対象
- (8) 第5類(自己反応性物質)は分子内に酸素供給源をもつため、酸素を排除する窒息消火が効かない。大量の水による冷却が原則である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 別表第五」
- (9) ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどの活性な金属は、高温で二酸化炭素を還元して炭素を遊離させながら燃焼を続けることがあるため、二酸化炭素は適応しない。乾燥砂等を用いる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 別表第五」
法令上の位置づけ
- (10) 二酸化炭素消火設備は不活性ガス消火設備として第3種の消火設備に区分される。大型の二酸化炭素消火器は第4種、小型は第5種である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 別表第五」
- (11) 移動タンク貯蔵所に備える自動車用消火器として、二酸化炭素を放射するもので充てん量3.2kg以上のものが規則第35条第2号に挙げられている。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第35条第2号」
試験での頻出ポイント
- 主効果は窒息。冷却はほとんど期待できません。
- 空気より重く(蒸気比重約1.5)、汚損がなく電気絶縁性が高いので電気設備に適応します。
- 第5類には効きません(分子内に酸素をもつため)。
- 活性な金属(ナトリウム・カリウム・マグネシウム)にも使えません。
- 高濃度では人体に危険で、密閉区画での放出には安全対策が必要です。
出典・参考
- 総務省消防庁 二酸化炭素消火設備に係る安全対策
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 別表第五
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則 第35条