危険物の性状比較
第4類危険物は、引火点・発火点・沸点・液比重・蒸気比重・燃焼範囲・水溶性の7つの物性で性格が決まります。本試験では、これらを並べて「正しい組合せはどれか」と問う出題が定番です。物質ごとにバラバラに覚えるのではなく、表で横並びに比較してください。
第4類危険物の性状一覧
| 物質 | 品名 | 引火点 | 発火点 | 沸点 | 液比重 | 蒸気比重 | 燃焼範囲(vol%) | 水溶性 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ジエチルエーテル | 特殊引火物 | −45℃ | 160℃ | 34.6℃ | 0.71 | 2.6 | 1.9〜36 | わずかに溶ける |
| 二硫化炭素 | 特殊引火物 | −30℃以下 | 90℃ | 46℃ | 1.26 | 2.6 | 1.3〜50 | 溶けない |
| アセトアルデヒド | 特殊引火物 | −38℃ | 175℃ | 21℃ | 0.78 | 1.5 | 4.1〜55 | 溶ける |
| ガソリン | 第1石油類 | −40℃以下 | 約300℃ | 40〜220℃ | 0.65〜0.75 | 3〜4 | 1.4〜7.6 | 溶けない |
| ベンゼン | 第1石油類 | −11℃ | 498℃ | 80℃ | 0.88 | 2.8 | 1.2〜8.0 | 溶けない |
| トルエン | 第1石油類 | 4℃ | 480℃ | 111℃ | 0.87 | 3.1 | 1.1〜7.1 | 溶けない |
| アセトン | 第1石油類 | −20℃ | 465℃ | 56℃ | 0.79 | 2.0 | 2.15〜13 | 溶ける |
| メタノール | アルコール類 | 11℃ | 385℃ | 64℃ | 0.80 | 1.1 | 6.0〜36 | 溶ける |
| エタノール | アルコール類 | 13℃ | 363℃ | 78℃ | 0.79 | 1.6 | 3.3〜19 | 溶ける |
| 灯油 | 第2石油類 | 40℃以上 | 約220℃ | 145〜270℃ | 0.80 | 4.5 | 1.1〜6.0 | 溶けない |
| 軽油 | 第2石油類 | 45℃以上 | 約220℃ | 170〜370℃ | 0.85 | 4.5 | 1.0〜6.0 | 溶けない |
| 酢酸 | 第2石油類 | 39℃ | 463℃ | 118℃ | 1.05 | 2.1 | 4.0〜19.9 | 溶ける |
| 重油 | 第3石油類 | 60〜150℃ | 250〜380℃ | 300℃以上 | 0.9〜1.0 | ― | ― | 溶けない |
| グリセリン | 第3石油類 | 199℃ | 370℃ | 290℃ | 1.26 | 3.1 | ― | 溶ける |
※ガソリン・灯油・軽油・重油は混合物のため、値には幅があります。
- (1) 第4類危険物の性状は、引火点・発火点・沸点・液比重・蒸気比重・燃焼範囲・水溶性の7項目で比較する。品名の区分は引火点で決まるため、引火点は品名の順とおおむね一致する。e-Gov「消防法 別表第一備考」
横断的に押さえる特徴
液比重が1より大きいもの(水より重い)
- (2) 第4類の大多数は水より軽いが、二硫化炭素(1.26)・グリセリン(1.26)・酢酸(1.05)は水より重い。二硫化炭素は水より重く水に溶けないため、水中保存ができる。職場のあんぜんサイト「二硫化炭素 SDS」
蒸気比重
- (3) 第4類の蒸気はいずれも空気より重い(蒸気比重>1)。最も小さいのはメタノール(約1.1)で、灯油・軽油は約4.5と大きい。蒸気は低所に滞留するため、換気は低い位置から行い屋外の高所へ排出する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第11号」
発火点が特に低いもの
沸点が特に低いもの
- (5) 沸点が特に低いのはアセトアルデヒド(21℃)とジエチルエーテル(34.6℃)で、いずれも常温で急速に蒸発する。ジエチルエーテルは引火点−45℃・沸点34.6℃で特殊引火物の後段の定義に当たる。職場のあんぜんサイト「ジエチルエーテル SDS」
燃焼範囲が特に広いもの
- (6) 燃焼範囲が特に広いのはアセトアルデヒド(4.1〜55vol%)、二硫化炭素(1.3〜50vol%)、ジエチルエーテル(1.9〜36vol%)である。範囲が広く下限値が低いほど危険性が高い。職場のあんぜんサイト「アセトアルデヒド SDS」
水溶性のもの
- (7) 水に溶ける第4類には、アセトアルデヒド・アセトン・メタノール・エタノール・酢酸・グリセリンなどがある。水溶性のものは指定数量が非水溶性の2倍になり、火災には水溶性液体用泡消火剤(耐アルコール泡)が必要になる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 別表第三」
順序を問われやすい比較
| 比較軸 | 小さい ← → 大きい |
|---|---|
| 引火点 | ジエチルエーテル(−45) < ガソリン(−40以下) < アセトアルデヒド(−38) < 二硫化炭素(−30以下) < アセトン(−20) < ベンゼン(−11) < トルエン(4) < メタノール(11) < エタノール(13) < 酢酸(39) < 灯油(40以上) < 軽油(45以上) |
| 発火点 | 二硫化炭素(90) < ジエチルエーテル(160) < アセトアルデヒド(175) < 灯油・軽油(約220) < ガソリン(約300) < エタノール(363) < メタノール(385) < アセトン(465) < トルエン(480) < ベンゼン(498) |
| 沸点 | アセトアルデヒド(21) < ジエチルエーテル(34.6) < 二硫化炭素(46) < アセトン(56) < メタノール(64) < エタノール(78) < ベンゼン(80) < トルエン(111) < 酢酸(118) |
- (8) 引火点の順序と発火点の順序は一致しない。ガソリンは引火点が最も低い部類だが発火点は約300℃、二硫化炭素は引火点がガソリンより高いが発火点は90℃と最も低い。この逆転が出題の要である。職場のあんぜんサイト「二硫化炭素 SDS」
試験での頻出ポイント
- 「第4類はすべて水より軽い」は誤りです。二硫化炭素・グリセリン・酢酸は水より重い。
- 「第4類の蒸気はすべて空気より重い」は正しい。ここは例外がありません。
- 発火点が最も低いのは二硫化炭素(90℃)。ガソリンではありません。
- 沸点が最も低いのはアセトアルデヒド(21℃)です。
- 燃焼範囲が最も広いのはアセトアルデヒド(4.1〜55vol%)です。
- 水溶性かどうかは、指定数量(2倍)と消火剤(耐アルコール泡)の両方に効いてきます。
出典・参考
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト GHSモデルSDS
- e-Gov法令検索 消防法 別表第一
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 別表第三