ガソリンの容器詰替え
ガソリンを容器に詰め替える作業は、危険物の取扱いのうち「詰替え」に当たります。引火点が−40℃以下と極めて低く、蒸気が空気より重くて低所に滞留するため、灯油・軽油の詰替えより厳しく扱われます。
令和元年12月20日の規則改正(令和2年2月1日施行)により、販売のために容器へ詰め替えるときは顧客の本人確認・使用目的の確認・販売記録の作成が義務づけられました。
詰替えの技術上の基準(政令第27条第3項)
- (1) 危険物を容器に詰め替える場合は、総務省令の定めるところにより収納する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第3項第1号」
- (2) 危険物を詰め替える場合は、防火上安全な場所で行う。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第3項第2号」
使用できる容器(規則第39条の3・別表第3の2)
詰替えに用いる容器は、運搬容器の基準(規則別表第3の2)に適合する内装容器等でなければなりません。ガソリンは第4類・危険等級Ⅱなので、単独で用いる場合の上限は次のとおりです。
| 容器の種類 | 第4類危険等級Ⅱの最大容積 |
|---|---|
| 金属製容器(金属製ドラムを除く) | 60L |
| プラスチック容器(プラスチックドラムを除く) | 10L |
| 金属製ドラム(天板固定式) | 250L |
- (3) ガソリンの詰替えに用いる容器は、規則別表第3の2に適合する運搬容器でなければならない。第4類危険等級Ⅱでは、金属製容器(ドラムを除く)が60L以下、プラスチック容器(ドラムを除く)が10L以下である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第39条の3・別表第3の2」
- (4) 灯油用のポリエチレン容器(いわゆるポリタンク)にガソリンを入れてはならない。ガソリンには消防法令に適合した金属製容器(携行缶)を用いる。総務省消防庁「ガソリンを携行缶で購入される皆様へ」
- (5) 容器には、危険物の品名、危険等級、化学名(水溶性の第4類は「水溶性」)、数量、注意事項(第4類は「火気厳禁」)などを見やすい箇所に表示する。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第39条の3第2項・第44条」
販売のための詰替えにおける確認等(規則第39条の3の2)
- (6) ガソリンを販売するため容器に詰め替えるときは、顧客の本人確認、使用目的の確認および当該販売に関する記録の作成をしなければならない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第39条の3の2」
消防庁の運用は次のとおり示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本人確認の方法 | 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど、公的機関が発行する写真付きの証明書の提示を求める |
| 使用目的の確認 | 顧客に使用目的を質問して確認する |
| 記録する事項 | 販売日、顧客の氏名、住所、本人確認の方法、使用目的、販売数量 |
| 記録の保存期間 | 1年を目安に保存する |
- (7) 販売記録には販売日・顧客の氏名・住所・本人確認の方法・使用目的・販売数量を記入し、1年を目安として保存する。総務省消防庁「ガソリンの容器詰替え販売における本人確認等について」
- (8) この規制は、令和元年7月に京都府で発生したガソリンによる放火事件を受け、ガソリンの不正利用を防止するために令和元年12月20日に規則改正され、令和2年2月1日から施行された。総務省消防庁「ガソリンの取扱いに関する通知等」
給油取扱所で詰め替えるときの基準
- (9) 固定給油設備からガソリンを容器に詰め替えるときは、容器の一部または全部が給油空地からはみ出たままで詰め替えてはならない。灯油・軽油を固定注油設備から容器に詰め替えるときは、注油空地からはみ出さないようにする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第6項第1号ニ・ホ」
- (10) 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフ型)でも、顧客が自ら詰め替えられるのは灯油と軽油だけである。ガソリンの容器詰替えは従業員が行う。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第28条の2の4」
移動タンク貯蔵所からの詰替え
- (11) 移動貯蔵タンクから液体の危険物を容器に詰め替えることは原則としてできない。例外は、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める容器に引火点40℃以上の第4類の危険物を詰め替えるときに限られる。ガソリンは引火点が−40℃以下なので、この例外に当たらない。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第6項第4号ロ」
試験での頻出ポイント
- 「移動貯蔵タンクから容器へ詰め替えられるのは引火点40℃以上の第4類だけ」。灯油(引火点40℃以上)は可、ガソリンは不可です。
- 販売のための詰替えでは本人確認・使用目的の確認・販売記録の3点セットが必要です。
- ガソリンは金属製の携行缶へ。灯油用ポリタンクは使えません。
- 給油取扱所では、容器が給油空地からはみ出たままの詰替えはできません。
- セルフ型で顧客が自ら詰め替えられるのは灯油・軽油だけです。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令
- 総務省消防庁 ガソリンの容器詰替え販売における本人確認等について