運搬の基準
- (1) 運搬とは、危険物を運搬容器に収納して車両等で運ぶ形態である。危険物の運搬は、その数量にかかわらず、政令で定める容器・積載方法・運搬方法の技術上の基準に従う。「指定数量未満だから運搬基準が適用されない」は誤りである。e-Gov「消防法 第16条」
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で運ぶ形態は運搬ではなく移送であり、別の基準が適用されます。
| 項目 | 運搬 | 移送 |
|---|---|---|
| 手段 | 運搬容器+車両 | 移動タンク貯蔵所 |
| 根拠 | 消防法第16条、政令第28条〜第30条 | 消防法第16条の2、政令第30条の2 |
| 数量による適用の有無 | 数量にかかわらず適用 | 移動タンク貯蔵所である以上常に適用 |
| 危険物取扱者の乗車 | 不要 | 必要(免状の携帯も必要) |
運搬容器(政令第28条、規則第41条〜第43条の3)
- (2) 運搬容器の材質は、鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラス等、規則第41条が定めるものによる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第41条」
- (3) 一般の運搬容器への収納は、固体の危険物を内容積の95%以下、液体の危険物を内容積の98%以下とし、液体は55℃の温度で漏れないよう十分な空間容積を残す。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第43条の3」
- (4) 運搬容器の構造・最大容積は、危険物の類と危険等級の組合せごとに規則別表第3(固体用)・別表第3の2(液体用)で定められている。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第42条・別表第3・別表第3の2」
積載方法(政令第29条)
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 危険物は運搬容器に総務省令で定めるところにより収納して積載する(塊状の硫黄等、同一敷地内の製造所等間の運搬などは除く) |
| 2 | 運搬容器の外部に品名・数量等を表示して積載する |
| 3 | 危険物が転落し、運搬容器が落下・転倒・破損しないように積載する |
| 4 | 運搬容器は収納口を上方に向けて積載する |
| 5 | 総務省令で定める危険物は、日光の直射や雨水の浸透を防ぐ被覆等の措置を講じて積載する |
| 6 | 総務省令で定めるところにより、類を異にする危険物等と混載しない |
| 7 | 運搬容器を積み重ねる場合は、総務省令で定める高さ(3m)以下とする |
- (5) 積載では、収納口を上方に向け、落下・転倒・破損を防ぎ、積み重ねは3m以下とする。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第29条」
- (6) 運搬容器を積み重ねる高さの上限は3mである。積み重ねる場合、容器の上部にかかる荷重は、同種の容器を3mまで積み重ねたときにかかる荷重以下としなければならない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第46条の2」
運搬容器の外部表示(規則第44条第1項)
| 危険物 | 注意事項 |
|---|---|
| 第1類のうちアルカリ金属の過酸化物またはこれを含有するもの | 火気・衝撃注意、可燃物接触注意、禁水 |
| 第1類のその他のもの | 火気・衝撃注意、可燃物接触注意 |
| 第2類のうち鉄粉・金属粉・マグネシウムまたはこれらを含有するもの | 火気注意、禁水 |
| 第2類のうち引火性固体 | 火気厳禁 |
| 第2類のその他のもの | 火気注意 |
| 第3類の自然発火性物品 | 空気接触厳禁、火気厳禁 |
| 第3類の禁水性物品 | 禁水 |
| 第4類 | 火気厳禁 |
| 第5類 | 火気厳禁、衝撃注意 |
| 第6類 | 可燃物接触注意 |
- (7) 運搬容器の外部には、品名・危険等級・化学名(第4類の水溶性のものは「水溶性」)、数量、および危険物に応じた注意事項を表示する。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第44条第1項」
- (8) 第6類の運搬容器の注意事項は「可燃物接触注意」のみである。第6類には掲示板の注意事項がない点と混同しない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第44条第1項第3号ヘ」
被覆等の措置(規則第45条)
| 措置 | 対象 |
|---|---|
| 遮光性の被覆(日光の直射を避ける) | 第1類、自然発火性物品、第4類のうち特殊引火物、第5類、第6類 |
| 防水性の被覆(雨水の浸透を防ぐ) | 第1類のうちアルカリ金属の過酸化物等、第2類のうち鉄粉・金属粉・マグネシウム等、禁水性物品 |
| 保冷コンテナ等による温度管理 | 第5類のうち55℃以下の温度で分解するおそれのあるもの |
- (9) 遮光性の被覆が必要なのは、第1類・自然発火性物品・第4類の特殊引火物・第5類・第6類である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第45条第1項」
- (10) 防水性の被覆が必要なのは、第1類のうちアルカリ金属の過酸化物等、第2類のうち鉄粉・金属粉・マグネシウム等、および禁水性物品である。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第45条第2項」
- (11) 第5類のうち55℃以下の温度で分解するおそれのあるものは、保冷コンテナに収納する等の適正な温度管理をする。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第45条第3項」
混載の禁止(規則第46条・別表第4)
○が混載できる組合せ、×が混載を禁止される組合せです。
- (12) 混載できるのは「第1類と第6類」「第2類と第4類」「第2類と第5類」「第3類と第4類」「第4類と第5類」の5組合せだけである。e-Gov「危険物の規制に関する規則 別表第4」
- (13) 別表第4の混載禁止は、指定数量の10分の1以下の危険物については適用しない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 別表第4 備考第3号」
- (14) 危険物は、別表第4で混載を禁止されている危険物のほか、高圧ガス保安法第2条各号に掲げる高圧ガス(告示で定めるものを除く)とも混載できない。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第46条第1項第2号」
運搬方法(政令第30条)
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 危険物または運搬容器が著しい摩擦・動揺を起こさないように運搬する |
| 2 | 指定数量以上を車両で運搬する場合、車両に標識を掲げる |
| 3 | 指定数量以上を車両で運搬する場合、積替え・休憩・故障等で一時停止するときは安全な場所を選び、危険物の保安に注意する |
| 4 | 指定数量以上を車両で運搬する場合、その危険物に適応する消火設備を備える |
| 5 | 運搬中に危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれのある場合は、応急の措置を講ずるとともに、最寄りの消防機関その他の関係機関に通報する |
- (15) 指定数量以上の危険物を車両で運搬するときは、車両に標識を掲げ、危険物に適応する消火設備を備え、一時停止は安全な場所を選ぶ。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第30条第1項」
- (16) 車両に掲げる標識は、0.3m平方の地が黒色の板に黄色の反射塗料その他反射性を有する材料で「危」と表示したものとし、車両の前後の見やすい箇所に掲げる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第47条」
- (17) 運搬中に危険物が著しく漏れる等、災害が発生するおそれのある場合は、応急の措置を講ずるとともに最寄りの消防機関その他の関係機関に通報する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第30条第1項第5号」
- (18) 品名または指定数量を異にする2以上の危険物を運搬する場合、それぞれの数量を指定数量で割った商の和が1以上となるときは、指定数量以上の危険物を運搬しているものとみなす。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第30条第2項」
- (19) 運搬には、危険物取扱者の乗車を求める規定はない。免状を持たない人が運転する車両でも、容器・積載・運搬方法の基準を満たしていれば運搬できる。危険物取扱者の乗車と免状の携帯が必要になるのは移送の場面である。e-Gov「消防法 第16条の2」
試験での頻出ポイント
- 運搬は数量にかかわらず基準が適用されます。指定数量以上になって初めて加わるのは「標識」「消火設備」「一時停止時の注意」の3つです。
- 車両の「危」の標識は0.3m平方・黒地・黄色反射・車両の前後。移動タンク貯蔵所の標識は0.3m平方以上0.4m平方以下で、運搬の標識は0.3m平方ちょうどという違いに注意します。
- 混載できる5組合せは「1と6」「2と4」「2と5」「3と4」「4と5」。指定数量の10分の1以下なら適用されない点も頻出です。
- 収納率は「固体95%以下・液体98%以下・液体は55℃で漏れない空間」。
- 遮光性の被覆と防水性の被覆の対象を入れ替えた選択肢が定番です。第4類で遮光が必要なのは特殊引火物だけです。
- 運搬に危険物取扱者の乗車は不要、移送には必要。この対比が最頻出です。
出典・参考
- e-Gov法令検索 消防法 第16条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令 第28条〜第30条
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則 第41条〜第47条