比表面積
比表面積とは、物質の単位質量(または単位体積)あたりの表面積です。同じ物質でも細かく砕くほど比表面積は大きくなり、空気(酸素)と接する面積が増えて燃えやすくなります。
定義
- (1) 比表面積とは、物質の単位質量あたり(m²/g など)または単位体積あたりの表面積をいう。粒子を細かくするほど比表面積は大きくなる。NIST Chemistry WebBook
- (2) 一辺 a の立方体を半分の大きさに分割していくと、体積の合計は変わらないのに表面積の合計は2倍、4倍と増える。粒子径が小さくなるほど比表面積は反比例的に大きくなる。OpenStax「The Solid State of Matter」
燃焼への影響
- (3) 比表面積が大きいほど酸素と接触する面積が増え、酸化反応が速く進むため、燃えやすく(危険性が高く)なる。同じ鉄でも、鉄の塊は燃えにくいが鉄粉は燃える。総務省消防庁「危険物とは」
- (4) 比表面積が大きいと発熱が蓄積しやすく、発火点が下がる方向に働く。粉末状の可燃物が塊状のものより低い温度で発火するのはこのためである。総務省消防庁「危険物とは」
- (5) 可燃性の微粉が空気中に浮遊すると、比表面積が極めて大きくなり、着火すると一気に燃え広がって粉じん爆発を起こす。小麦粉・砂糖・アルミニウム粉・マグネシウム粉などで発生する。総務省消防庁「危険物とは」
危険物法令との関係
- (6) 第2類の鉄粉・金属粉・マグネシウムは、粉末であるがゆえに危険物とされている。消防法別表第一の備考では、鉄粉は目開き53μmの網ふるいを通過するものが50%未満のものを除き、金属粉は目開き150μmの網ふるいを通過するものが50%未満のものを除くと、粒度で線引きされている。e-Gov「消防法 別表第一備考」
- (7) 危険物の製造の技術上の基準では、粉砕工程において危険物の粉末が著しく浮遊している状態、または著しく機械器具等に附着している状態でその機械器具等を取り扱ってはならないとされている。粉じん爆発の防止が目的である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第27条第2項第4号」
- (8) 金属粉が燃えるときの燃焼形態は表面燃焼(無煙燃焼)である。比表面積が大きいほど表面での反応が速く進む。消防試験研究センター「丙種公開問題」
自然発火との関係
- (9) 乾性油をしみ込ませた布や、油の付いたウエスを積み重ねると、比表面積が大きい状態で酸化熱が発生し、熱が逃げにくいため蓄積して自然発火に至る。比表面積の大きさと放熱条件の悪さが重なることが原因である。総務省消防庁「危険物とは」
試験での頻出ポイント
- 「同じ物質なら、細かいほど燃えやすい」。理由は比表面積が大きくなって酸素と接触しやすくなるからです。
- 比表面積が大きいと発火点が下がる方向に働きます。「粉末にしても発火点は変わらない」とする選択肢は誤りです。
- 粉じん爆発は比表面積が大きい微粉が浮遊した状態で起こります。
- 第2類の鉄粉・金属粉は、粒度(網ふるいの通過割合)で危険物かどうかが決まります。
- 油のしみたウエスの自然発火も、比表面積と蓄熱で説明できます。
出典・参考
- 総務省消防庁 危険物とは
- OpenStax The Solid State of Matter
- 一般財団法人消防試験研究センター 丙種公開問題