脂肪族化合物
脂肪族化合物とは、ベンゼン環(芳香環)をもたない有機化合物の総称です。鎖状のもの(鎖式化合物)と、環状でも芳香環でないもの(脂環式化合物)を含みます。第4類危険物の多くが脂肪族化合物です。
分類
- (1) 脂肪族化合物とは、ベンゼン環をもたない有機化合物をいう。鎖状の鎖式化合物と、環状だが芳香環をもたない脂環式化合物に分かれる。OpenStax「Hydrocarbons」
脂肪族炭化水素
| 分類 | 一般式 | 結合 | 名称の語尾 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| アルカン(飽和) | CₙH₂ₙ₊₂ | 単結合のみ | 〜アン | メタン、エタン、プロパン、ヘキサン |
| アルケン(不飽和) | CₙH₂ₙ | C=C を1つ | 〜エン | エチレン(エテン)、プロピレン |
| アルキン(不飽和) | CₙH₂ₙ₋₂ | C≡C を1つ | 〜イン | アセチレン(エチン) |
- (2) アルカンは一般式 CₙH₂ₙ₊₂ で表される飽和炭化水素で、単結合のみをもつ。比較的安定で、置換反応を起こしやすい。OpenStax「Hydrocarbons」
- (3) アルケンは C=C 二重結合、アルキンは C≡C 三重結合をもつ不飽和炭化水素で、付加反応を起こしやすい。OpenStax「Hydrocarbons」
- (4) 飽和炭化水素(アルカン)は置換反応、不飽和炭化水素(アルケン・アルキン)は付加反応を起こしやすい。この対応が頻出である。OpenStax「Hydrocarbons」
主な官能基と化合物群
| 官能基 | 名称 | 化合物群 | 危険物の例 |
|---|---|---|---|
| −OH | ヒドロキシ基 | アルコール | メタノール、エタノール、グリセリン |
| −O− | エーテル結合 | エーテル | ジエチルエーテル |
| −CHO | ホルミル基(アルデヒド基) | アルデヒド | アセトアルデヒド |
| >C=O | カルボニル基(ケトン基) | ケトン | アセトン |
| −COOH | カルボキシ基 | カルボン酸 | 酢酸 |
| −COO− | エステル結合 | エステル | 酢酸エチル |
| −NH₂ | アミノ基 | アミン | アニリン(芳香族) |
- (5) 官能基は有機化合物の性質を決める原子団で、−OH がヒドロキシ基(アルコール)、−CHO がホルミル基(アルデヒド)、−COOH がカルボキシ基(カルボン酸)、−COO− がエステル結合(エステル)である。OpenStax「Aldehydes, Ketones, Carboxylic Acids, and Esters」
- (6) 第一級アルコールを酸化するとアルデヒドになり、さらに酸化するとカルボン酸になる。第二級アルコールを酸化するとケトンになる。エタノール→アセトアルデヒド→酢酸がその例である。OpenStax「Aldehydes, Ketones, Carboxylic Acids, and Esters」
- (7) カルボン酸とアルコールから水がとれてエステルができる反応をエステル化という。逆に、エステルが水と反応してもとに戻る反応を加水分解という。OpenStax「Aldehydes, Ketones, Carboxylic Acids, and Esters」
危険物との関係
- (8) 第4類危険物の多くは脂肪族化合物である。ガソリン・灯油・軽油は主にアルカンの混合物、アルコール類・アセトン・酢酸・ジエチルエーテルはいずれも脂肪族化合物である。e-Gov「消防法 別表第一」
- (9) 消防法の「アルコール類」は、1分子を構成する炭素原子数が1個から3個までの飽和1価アルコール(変性アルコールを含む)と定義される。したがってメタノール・エタノール・1-プロパノール・2-プロパノールが該当し、炭素数4以上のブタノールは含まれない。e-Gov「消防法 別表第一備考第10号」
- (10) グリセリンは炭素数3だが3価のアルコールなので「アルコール類」には該当せず、第3石油類に分類される。「炭素数だけで判断しない」点が要注意である。e-Gov「消防法 別表第一備考第10号」
- (11) 同じ化合物群では、炭素数が増える(分子量が大きくなる)ほど沸点・引火点が高くなり、水に溶けにくくなる。メタノール→エタノール→1-プロパノールの順に引火点が高くなるのはこのためである。OpenStax「Alcohols and Ethers」
試験での頻出ポイント
- 「アルカン=置換反応」「アルケン・アルキン=付加反応」の対応。
- 消防法のアルコール類は炭素数1〜3の飽和1価アルコール。グリセリン(3価)は該当せず第3石油類です。
- 第一級アルコール→アルデヒド→カルボン酸という酸化の流れ(エタノール→アセトアルデヒド→酢酸)。
- 炭素数が増えると沸点・引火点が上がり、水に溶けにくくなります。
- 官能基と化合物群の名称の対応が繰り返し問われます。
出典・参考
- OpenStax Hydrocarbons
- OpenStax Aldehydes, Ketones, Carboxylic Acids, and Esters
- e-Gov法令検索 消防法 別表第一