危険物施設に対する措置命令
市町村長等が製造所等の所有者等に対して出す命令のうち、許可の取消し・使用停止命令以外のものをまとめます。「何が違反しているか」で命令の種類が決まります。
| 命令 | 発動要件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 貯蔵・取扱基準遵守命令 | 貯蔵・取扱いが消防法第10条第3項の技術上の基準に違反していると認めるとき | 法第11条の5第1項・第2項 |
| 修理・改造・移転命令(基準適合命令) | 位置・構造・設備が法第10条第4項の技術上の基準に適合していないと認めるとき | 法第12条第2項 |
| 緊急使用停止命令・使用制限 | 公共の安全の維持または災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるとき | 法第12条の3第1項 |
| 危険物保安統括管理者・危険物保安監督者の解任命令 | これらの者が法令に違反したとき、または業務を行わせることが公共の安全の維持・災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるとき | 法第13条の24第1項 |
| 応急措置命令 | 事故時に所有者等が応急の措置を講じていないと認めるとき | 法第16条の3第3項・第4項 |
| 無許可貯蔵等の危険物に対する措置命令 | 承認・許可を受けないで指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱っている者に対して | 法第16条の6第1項 |
貯蔵・取扱基準遵守命令(法第11条の5)
- (1) 市町村長等は、製造所・貯蔵所(移動タンク貯蔵所を除く)・取扱所においてする危険物の貯蔵・取扱いが法第10条第3項の技術上の基準に違反していると認めるときは、所有者等に対し技術上の基準に従って貯蔵し、または取り扱うべきことを命ずることができる。移動タンク貯蔵所については、その管轄する区域の市町村長が同様に命ずる。e-Gov「消防法 第11条の5第1項・第2項」
- (2) 市町村長が移動タンク貯蔵所に対して貯蔵・取扱基準遵守命令をしたときは、その移動タンク貯蔵所の設置許可をした市町村長等に対し、速やかにその旨を通知しなければならない。e-Gov「消防法 第11条の5第3項」
修理・改造・移転命令(法第12条)
- (3) 製造所等の所有者・管理者・占有者は、位置・構造・設備が法第10条第4項の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。e-Gov「消防法 第12条第1項」
- (4) 市町村長等は、位置・構造・設備が技術上の基準に適合していないと認めるときは、所有者等で権原を有する者に対し、技術上の基準に適合するように修理し、改造し、または移転すべきことを命ずることができる。e-Gov「消防法 第12条第2項」
「貯蔵・取扱い」の違反なら基準遵守命令、「位置・構造・設備」の不適合なら修理・改造・移転命令、という対応で覚えます。
緊急使用停止命令(法第12条の3)
- (5) 市町村長等は、公共の安全の維持または災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、所有者等に対し、製造所等の使用を一時停止すべきことを命じ、またはその使用を制限することができる。違反があったかどうかを問わない点が特徴である。e-Gov「消防法 第12条の3第1項」
許可の取消し・使用停止命令(法第12条の2)が違反行為に対する制裁であるのに対し、緊急使用停止命令は危険の除去のための予防的措置です。
解任命令(法第13条の24)
- (6) 市町村長等は、危険物保安統括管理者または危険物保安監督者が法令に違反したとき、またはこれらの者に業務を行わせることが公共の安全の維持・災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、所有者等に対しこれらの者の解任を命ずることができる。危険物施設保安員には解任命令の規定がない。e-Gov「消防法 第13条の24第1項」
無許可貯蔵等に対する措置命令(法第16条の6)
- (7) 市町村長等は、仮貯蔵・仮取扱いの承認または設置許可を受けないで指定数量以上の危険物を貯蔵し、または取り扱っている者に対して、その危険物の除去その他危険物による災害防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。無許可施設が対象なので、許可の取消しや使用停止命令ではこの状況に対処できない。e-Gov「消防法 第16条の6第1項」
命令をしたときの公示(法第11条の5第4項・第5項)
- (8) 市町村長等が命令をした場合は、標識の設置その他総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。標識は命令に係る製造所等に設置でき、所有者等はその設置を拒み、または妨げてはならない。この公示の規定は、修理・改造・移転命令、許可の取消し・使用停止命令、緊急使用停止命令、解任命令、応急措置命令、無許可貯蔵等の措置命令にも準用される。e-Gov「消防法 第11条の5第4項・第5項」
試験での頻出ポイント
- 「貯蔵・取扱いの違反=基準遵守命令」「位置・構造・設備の不適合=修理・改造・移転命令」の対応。
- 緊急使用停止命令は違反がなくても出せる(緊急の必要があれば足りる)。これに対し許可の取消し・使用停止命令は違反が要件です。
- 解任命令の対象は危険物保安統括管理者と危険物保安監督者。危険物施設保安員は対象外です。
- 命令をしたときは公示が必要で、所有者等は標識の設置を拒めません。
- 無許可で指定数量以上を扱っている者には、許可の取消しではなく法第16条の6の措置命令で対応します。
出典・参考
- e-Gov法令検索 消防法 第11条の5・第12条・第12条の3・第13条の24・第16条の6
- 総務省消防庁 法令・通知等