保有空地
保有空地とは、製造所等の周囲に確保する、物を置いてはならない空地(空きスペース)です。消火活動を行う空間を確保し、隣接する施設への延焼を防ぐために設けます。「施設の外にある保護対象物までの距離」を定める保安距離とは、目的も測り方も異なります。
空地の幅は、施設の種類・貯蔵し取り扱う危険物の指定数量の倍数・建築物の構造(耐火構造かどうか)によって変わります。
保有空地が必要な製造所等
危険物の規制に関する政令が保有空地の幅を定めているのは、次の6施設です。
| 施設 | 空地を確保する対象 | 根拠 |
|---|---|---|
| 製造所 | 危険物を取り扱う建築物その他の工作物の周囲 | 政令第9条第1項第2号 |
| 屋内貯蔵所 | 貯蔵倉庫の周囲 | 政令第10条第1項第2号 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 屋外貯蔵タンクの周囲 | 政令第11条第1項第2号 |
| 屋外貯蔵所 | 危険物を貯蔵・取り扱う場所を区画する柵等の周囲 | 政令第16条第1項第4号 |
| 簡易タンク貯蔵所(屋外に設置する場合) | 簡易貯蔵タンクの周囲 | 政令第14条第4号 |
| 一般取扱所 | 製造所の例による | 政令第19条第1項 |
- (1) 政令が保有空地の幅を定めているのは、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・簡易タンク貯蔵所(屋外に設置するもの)・一般取扱所の6施設である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条・第10条・第11条・第14条・第16条・第19条」
- (2) 保安距離が必要な5施設は保有空地も必要だが、逆は成り立たない。簡易タンク貯蔵所(屋外)は保有空地だけが必要である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第14条第4号」
なお移送取扱所は、政令が定める上記の保有空地の対象ではありません。ただし配管を地上に設置する場合は、規則第28条の16第3号により配管の両側に空地を保有します(後述)。
施設ごとの空地の幅
製造所・一般取扱所(政令第9条第1項第2号)
- (3) 製造所・一般取扱所の保有空地は、指定数量の倍数が10以下なら3m以上、10を超えるなら5m以上である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第2号」
屋内貯蔵所(政令第10条第1項第2号)
貯蔵倉庫の壁・柱・床が耐火構造かどうかで2列に分かれます。
| 指定数量の倍数 | 壁・柱・床が耐火構造 | それ以外 |
|---|---|---|
| 5以下 | 空地不要 | 0.5m以上 |
| 5を超え10以下 | 1m以上 | 1.5m以上 |
| 10を超え20以下 | 2m以上 | 3m以上 |
| 20を超え50以下 | 3m以上 | 5m以上 |
| 50を超え200以下 | 5m以上 | 10m以上 |
| 200を超える | 10m以上 | 15m以上 |
- (4) 屋内貯蔵所の保有空地は、貯蔵倉庫の壁・柱・床が耐火構造であるかどうかと指定数量の倍数の2軸で決まり、耐火構造かつ倍数5以下なら空地は不要である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第10条第1項第2号」
屋外タンク貯蔵所(政令第11条第1項第2号)
| 指定数量の倍数 | 空地の幅 |
|---|---|
| 500以下 | 3m以上 |
| 500を超え1,000以下 | 5m以上 |
| 1,000を超え2,000以下 | 9m以上 |
| 2,000を超え3,000以下 | 12m以上 |
| 3,000を超え4,000以下 | 15m以上 |
| 4,000を超える | タンクの水平断面の最大直径(横型は横の長さ)または高さの数値のうち大きいほうに等しい距離以上。ただし15m未満としてはならない |
- (5) 屋外タンク貯蔵所の保有空地は倍数500以下で3m以上、以降5m・9m・12m・15mと増え、倍数4,000超はタンクの直径等または高さの大きいほうに等しい距離以上(最低15m)である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第11条第1項第2号」
屋外貯蔵所(政令第16条第1項第4号)
| 指定数量の倍数 | 空地の幅 |
|---|---|
| 10以下 | 3m以上 |
| 10を超え20以下 | 6m以上 |
| 20を超え50以下 | 10m以上 |
| 50を超え200以下 | 20m以上 |
| 200を超える | 30m以上 |
- (6) 屋外貯蔵所の保有空地は倍数10以下で3m以上、以降6m・10m・20mと増え、200超で30m以上である。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第16条第1項第4号」
- (7) 硫黄等(第2類の硫黄または硫黄のみを含有するもの)のみを貯蔵・取り扱う屋外貯蔵所では、表の空地の幅を3分の1まで減らすことができる。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第16条第2項第1号」
簡易タンク貯蔵所(政令第14条第4号)
| 設置形態 | 必要な空地・間隔 |
|---|---|
| 屋外に設置する場合 | タンクの周囲に1m以上の幅の空地 |
| 専用室内に設置する場合 | タンクと専用室の壁との間に0.5m以上の間隔 |
- (8) 簡易タンク貯蔵所は、屋外に設置する場合はタンクの周囲に1m以上の空地、専用室内に設置する場合はタンクと壁との間に0.5m以上の間隔を確保する。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第14条第4号」
移送取扱所の配管の空地(規則第28条の16第3号)
配管を地上に設置する場合、配管(移送基地の構内に設置されるものを除く)の両側に、最大常用圧力に応じた幅の空地を保有します。工業専用地域に設置する配管はその3分の1です。
| 配管に係る最大常用圧力 | 空地の幅 |
|---|---|
| 0.3MPa未満 | 5m以上 |
| 0.3MPa以上1MPa未満 | 9m以上 |
| 1MPa以上 | 15m以上 |
- (9) 移送取扱所は政令の保有空地の対象施設ではないが、地上に設置する配管の両側には、規則第28条の16第3号により最大常用圧力に応じ5m・9m・15m以上(工業専用地域はその3分の1)の空地を保有する。e-Gov「危険物の規制に関する規則 第28条の16第3号」
空地を減らせる場合
- (10) 製造所は隔壁の設置その他の防火上有効な措置を講じたとき、屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所は「2以上の同種施設を隣接して設置するとき」または「耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置を講じたとき」に、総務省令の定めるところにより空地の幅を減じ、または空地を保有しないことができる。e-Gov「危険物の規制に関する政令 第9条第1項第2号・第10条第1項第2号・第11条第1項第2号・第16条第1項第4号」
試験での頻出ポイント
- 「保有空地が必要な施設はどれか」では、保安距離が不要でも保有空地は必要な簡易タンク貯蔵所(屋外)が正解肢になります。逆に地下タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所は、どちらも不要です。
- 製造所の「10以下=3m/10超=5m」と、屋外貯蔵所の「10以下=3m/10超20以下=6m」は数字が似ています。施設名とセットで覚えます。
- 屋内貯蔵所だけが「耐火構造かどうか」で表が2列に分かれます。「耐火構造・倍数5以下なら空地不要」は頻出です。
- 保有空地は「物を置かないこと」が本質で、消火活動と延焼防止のための空間です。「他の施設の建築物を建ててよい」「資材置場に使ってよい」とする選択肢は誤りです。
出典・参考
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する規則
- 総務省消防庁 法令・通知等